おたくはどちら

つれづれ

35.

ウ゛
当社比重めのラインナップです
ミラベルのネタバレありますが勢いのままに喋っているので見てないと分かりません


ポケットモンスター シャイニングパール』
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この一画面に収まる殿堂入り画面、かなり好き
剣盾はカメラ遠いし、USMは主人公の周りをポケモンたちがぐるぐるしてた記憶があるので

リメイク部分で評価できるのは地下のポケモン捕獲と連れ歩き
単純に当時と違うパーティで旅できるのは良いし、それだけでリメイクを買って良かったと感じる 私はポケモンの旅が好きであるため
ストレーナー強化も現代に適応した結果だし、火炎放射や10万ボルトが配られてるなら適切だと思う SMのヌシ的強化するくらいならシステム内で戦ってるこっちの方に好感が持てる

剣盾も無限にワット稼げる方法見つけられてから面白くなくなったし、そういう意味ではBDSPのバグは他作品と等価であるため気にしていない(ストーリークリアするまでにそれらしいバグには遭遇してないし)
そこから移動の引っ掛かりや自転車の挙動で更にマイナス、エンカ率はスプレーというアイテムがあるので問題ない
ポケモン体験としてはかなりプラス、リメイクとしての完成度は微妙、大手RPGとしては移動関連の手触りがカス、対戦ゲームとしては(育成環境が)ダメ、総合的に当時のダイパプレイするよりかは全然良く、アルセウスの予習としてストーリー触れるなら適切

極論、捕まえてレベル上げて戦うのがこのゲームが娯楽たり得る真価なので、BDSPに関してそういった楽しみは損なっておらずむしろ増しており、ポケモンのプリミティブな構造の完成度が高いという趣きはある


『パパララレレルル』
小説or詩、短編集
最果タヒ、基本的に扱うのは恋とか愛とか死とかなのでカロリーが高く、これが全て素晴らしいかと言われるとまた違う
現代社会における多くの「死にたい」が「全ての社会的責任や役割を放棄して温泉宿で過ごしたい」に言い換えられるように、「死んでもいい」は言わば最上級の強調表現なのだが、そのあたりの「死という言葉で表現できるスレスレ〜ちょっと超えてる」価値観の掘り下げがすこぶる上手い
あと単純に私が作者の会話劇のテンポを気に入っている

短編集ということでどの作品も初めからクライマックスであり、ステーキばっか出てくるので胃もたれはする
むしろ私はある程度日常的なものを求めていることが今回でわかり、『渦森今日子は宇宙に期待しない。』でのファーストインプレッションが最良だったらしい
『パパララ』収録作である『限界人魚姫』『きみ推し』に代表されるように、ツイッターランドのオタクの文脈も存分に含まれているので、受け取り手としての私は共感と同族嫌悪が入り混じった複雑な感情も抱えている、最果タヒを買う人間の大多数が少なくともサブカル人種ではあるしターゲット層でもあるのだろうが
なんやかんや否定的な意見ばかり述べたが、気持ちを作品へと昇華する手腕はズバ抜けており、好きだ


『ミラベルと魔法だらけの家』
ディズニーのミュージカル映画
かなり面白かった 『ウマ娘』2期くらいには良作(ここでの「良作」は「私の人生は変えられてないけど人に薦めるならまずこの作品を選ぶ」くらいの意)

最近『ストーリーの解剖学』を読み返したのもあって、いろいろ考えながら見ていた
『解剖学』では主人公とライバルの対比がストーリーのメインだよ〜と述べているが、じゃあバトル要素がないところのライバルってなに、という話になる
その答えが『ミラベル』にあった ライバルの描き方が非常に上手く、イサベラが急にライバルとして対立するにも関わらず、ライバル足り得る材料は既に揃っていて違和感がない
例えば、『シンデレラ』の義姉たちはキャラクター性を薄れさせるために複数人いるとも言える(姉の違いを描写する『シンデレラ』はまずないし、それぞれの義姉の特徴を挙げろと言われても私は黙ってしまう)
仮に義姉がひとりなら、継母の寵愛を受けシンデレラをいびるという点でアイデンティティは確立しており、MMORPGならネームドに値する
だが、個人の印象を薄れさせるためにふたりの義姉は存在しており、ストーリー上それが何人でも変わらない
が、イサベラやルイーサは明確なストーリー上の要請があり、足しても引いても『ミラベル』は成立しない 家庭を描く上での登場人物の足し引きが真似できないレベルで練られている

人間の価値観が現代的にアップデートされてるのもグッド 『シンエヴァ』のように主人公のやるべきことがはっきり提示されていて、ミラベルも視聴者も迷わずに済む
魔法に対する解釈も、ディズニーらしさをきちんと踏襲しながらも『シンデレラ』の枠に収まらない描き方だった 
イサベラの魔法はむしろ従来のディズニー寄りだと思うが、それを徹底的にステレオタイプに落とし込んで、画面から甘ったるい花の香りがしてきそうなほどのキャラ造形が完成している この作品以外でもそういうキャラはいると思うが、ディズニーがやると説得力が百倍になる

家がまじでかわいい

ルイーサが『スーパーマン』のポーズを取っていたり、ミラベルが『シンデレラ』よろしくほこりまみれになったりするのも文脈好きな私に刺さっている

ディズニーの作風や企画段階はさておき、少なくともストーリーからポリティカルコレクトネスに配慮した云々を抜かすのはマジでナンセンス あのパーカッションを地球でやるなら南米しかありえない

ツッコミどころ(というか私が置いてかれたところ)もある ビジョンは結局なんやねんとか、おばあちゃんとの和解が過去回想ばかりでちょっと根拠に乏しくないかとか、蝶のモチーフが弱く感じるとか、ミラベルのケリの付け方はどこまでも個人的なのでそこに引っかかる可能性がちょっとあるとか

そういうことはあれど、映像は文句のつけようもないし、超いいです 
作品の完成度が異常なので観て損はしないし、観てよかった



エンドロールの演奏者紹介でcelesteってのが出てきたけど楽器でそういうのがあるんですね