おたくはどちら

つれづれ

寒空、銀弾、裸足、桃源

いえ〜い
ここは身内の中でも更に今回TRPGに参加した人向けの記事です、
CoC童話キャンペーンシナリオの元ネタとか、どういう趣味趣向に走って作ったかというやつ
結構気合い入れて作ったので、喋りたいことたくさんあるんですよ!!!!!
なんせ4シナリオ分だからな
ちなみにセッション後すぐ公開できるよう、数日前に書いてるのでどういう結末だったかはわかってません、どうでした?
全く削らなかった結果これだけで7000文字超えたのでゆっくりしていってね


『寒空』
マッチ売りの少女を助けて童話を崩壊させるか、
少女を見殺しにして童話を存続させるか、
どっちを選ぶ?というシナリオです


久しぶりで結構苦労しました、大まかなストーリーの元ネタはあるんですけどね(昔どっかで読んだSS)
半年くらいあっためてた
セッションという限られた時間の中で、物語の深みを出すために別の筋書きを持ってくるのは便利
舞台設定やキャラクター造形、ストーリーの大枠を全部まとめてプレイヤー間に共有できるので


倫理観と正しさが天秤に置かれた時の意識調査や、PL側にロールプレイほぼ全てを丸投げする実験の側面も兼ねています
基本的にこういうシナリオは「誰かを助ける」ことがTrueエンドの条件だったりするんですが、そもそもエンディング自体に優劣を付けることに疑問を持ったので選択の結果は平等に
そういう意味でも最初からソロ専用シナリオ扱いにしておくべきだったかもしれません


まだ現実と童話の設定が曖昧な時期で、マッチ技術に関する調査や時代考証は結構マジメに行なっていて、きっちり下調べしておくと理由付けやロールがしやすくて良かったです
「理由があるから結果がある」のがノンフィクションなら「結果ありきに理由で裏付けする」のが創作なのかな


エンディングを迎えても根本的な問題が解決しないシナリオなので、その辺りのさじ加減は難しいところ
あとは白雪姫の魔女をもう少し魅力的に演出できたら良かったかな……
タイトルは寂寥感一点張りでした



『銀弾、そして』
プライベートパーティに招かれた探索者たち。そこでは老人が童話を復活させようとしていて…?


世界観は同じものを使用していますが、基本的には前回をやっていなくてもプレイ可の独立形式です
ただフレーバー程度の関連性にするはずが、日記パートに入った時に他3人が前回の概要や意義や焦点を非プレイヤーにきっちり説明してくれ(てしまっ)たので、バランスが難しい
普段ならありがたいんですけど、それ前提にしてしまうとPL側の価値判断基準も変わってきてしまうので、これはKP側が調整すべき案件でした
PLのメタ推理自体は大いにやるべきだと思っています、それ含めてシナリオ作成の手腕なので


『寒空』がほぼソロシナリオだったので、複数人で回せるようなものを意識しました
他のシナリオへの伏線を撒いておく、ということにもトライしたエンディングや日記の作り方


私自身配布PCというものに強いトラウマ…もとい思い入れがありますが、そこで得た知見は「完全には互いを信用できない」という点です
他PLに任せきりで進行していく状態は私にとってもPLにとっても好ましくないので(そのぶん他のPLの負担が増えるので)、序盤〜中盤の抑制力として働いてくれた……かもしれません



各PCの所感
【PC1】サキョウ・モア
過去シナリオ『かえるが為に鐘は鳴る』のNPCの末裔
『寒空』でNPCを助けたならそれ相応の結果を用意するというスタンスを取ったので、そういう意味でも過去にNPCを助けたからこそ存在する、ひとつの結末のカタチになっています
完全に参加読みですが、操作するPLのキャラ傾向とは逆に戦闘技能を極力取らないことを意識しました


【PC2】中央ハザマ
過去にやらされたコンビニ閉店シナリオでバイト先を失った学生、名前に数字がちょっと入ってるのは指摘されてから気づいた
ヤンキー設定はPL側での味付けですが、「金欠だから怪しげなパーティに行く」理由からしてアホっぽそうなのでキャラメイクとこちらの思惑が綺麗にハマってくれて助かった(?)
花ざかりの君たちへ」の中央千里さんから苗字を貰っています
元ネタは「自分の道を貫き通す」信念を持った人なので、そういう意味でも最期はPC2らしくて良かったです
私の人格形成に大きな影響を与えてくれたキャラクターの名前を与えた甲斐はあったんじゃないかな……


【PC3】服部スズメ
伊賀忍者の子孫
『闇をゆく者達の宴』等で活躍してくれた服部ハト男くんの妹になります
現実を見た兄とは逆に、夢を追っかけてスタントマンになった人間なので対比になっていたりならなかったり、レシラムとゼクロム
今回配布なので技能に関してきめ細かく対応していて、服部スズメさんには戦闘役として期待してたんですが、銃や投擲がわりと強かったのでもう少し探索技能振るべきでした、反省


【PC4】橘キミドリ
童話関係の出版社に勤める編集者
前3人と違って明確な繋がりはありませんが、強いて言うなら『寒空』の童話の流れを意識したPC
こちらも好きな作品のキャラから名前を貰っています、「素晴らしき日々」の橘希実香さんですね
何故か酒飲み属性が追加されましたが好きですし、このシナリオの後もKP的には良いポジションについてくれました
上善如水!


話自体なんですが、『寒空』の選択とほぼ同等の状況に巻き込まれた元探索者の後日談・罪滅ぼしに付き合うものとなっています
シルバー世代の自分自身への弾劾、略して銀弾
このプライベートパーティ自体は一連の童話事件となんら関係のない、独立した物語ですね
必ず「個人の選択」をテーマにしているので(分岐するシナリオなら何かを選択するのは当然だけど)、それはNPCである佐似倭さんも同じです


童話の登場人物を連れ出して救うという選択を取った人間が、その後の人生で何を思い何をもって考えるのか
選択する時はその重大性が分かっておらずとも、PCにとってその後の人生に大きく影響を及ぼす重いものであるはずです、それはPLが考えるよりも、ずっと


そしてやってみたかった、シナリオ終盤での爆弾投下
だいたい終わったかな?というタイミングで「鋭角から霧が立ち込め…」
めちゃくちゃ楽しかった
乱用はできないけどキャンペーンならではの手法ですね



『裸足、それでも』
急遽作った橘キミドリさん用のシナリオ
なんだかんだでやってよかったな、と思います
配布だからといってPC勝手に動かすのもなんだかなぁという感覚よくわかるので
キャンペーンの繋ぎに特化したシナリオで、これだけは伏線を撒くのに集中しています


話の流れは中盤までは日記でわかると思いますし、たぶんその後の流れも雑談で話してるんじゃないでしょうか

特にやりたかったのは日記に焦点を当てることでした
まあ実際、現代に生きる人間が紙媒体で日記を書くのは少なくとも多数派ではないと思います
それなのに何故クトゥルフに出てくる人間は揃いも揃って日記を書くのか?
そういうアレに対する動機付けをしてみたかった、あとはロールプレイとして新しい形を模索してみたかった、そんなとこですね


非公開にしたのはそのロール結果を今後のシナリオにより強く反映したかったからです、赤ずきんにとっても「桃源」のプレイヤーにとってもキミドリさんの日記が突破口になっています
文字によって力を与える設定は魔術と切っても切り離せない関係だと思っていて(それこそ魔術書は文字媒体ですし)、そのあたりを掘り下げてもいます
そもそも童話自体が文字を利用しているので相性は抜群でしたね
文字媒体をTRPGやロールに絡めるのは前にVtuberシナリオやハロウィンシナリオでやって失敗したので、このくらいがいい塩梅じゃないでしょうか


話の構造自体は『寒空』とよく似ていて、

少女絡みの選択(寒空→マッチ売り、裸足→赤ずきん)
有識者との対話(寒空→白雪の魔女、裸足→グレーテル)

の2点を抑えたものになっています
PLが『寒空』をプレイしてないのでその配慮も込み


老婆は全ての回答を探索者に教える、まるでこの物語の内部キーパーのような役割ですが、
『寒空』五十嵐悟回にて、自分がロストする可能性を孕みつつも彼女を決められた運命から救い、演出も完璧に行う圧倒的ヒーロー力を見せてくれたので、それに対し彼女が彼の世界に報いようとした、そしてどこかに願いは届いた、という流れです


彼女を再び混沌の世界に関わらせていいものか、それは五十嵐の想いに反することにならないか相当悩んだんですが、老婆は彼女自身というよりも「彼女の願いの具現化」という方向性でまとめることにしました
本物の彼女は更生した父親と、きっと幸せな一生を過ごしてほしいと私も願っています


実の親を更生させるルートはより彼女の意に沿った回答でしょうし(相当父親のことを気にかけていたと思います)、前述の「NPCを助けたならそれ相応の結果を用意する」、その最たるものですね
結果がPCに見えるとは言ってないけどな!!!
あの探偵は知らぬうちに世界を救いかけています


「裸足」というタイトルは「何も持っていない」という意味合いで使っています、シンデレラを象徴したワードでありつつも赤ずきんを意識したタイトルですね
「それでも」、いろいろと含みのある日本語で好きです



『桃源、きっと』
堂々の最終章(そこまで大仰ではない)
いやどうだったんでしょうね、駄作に終わったらこの記事読んで難しい顔してください
タイトルの付け方はほぼ『裸足』と同じ
ヘンゼル・グレーテル兄妹、赤ずきん、そして探索者たちが目指す各々の桃源郷は何処に


前にも言った気がしますが結局全員が納得できる答えなんて存在しないんです、グレーテルの意志を通せば探索者たちは苦境に立たされるし、それが嫌ならグレーテルの願いを拒否するしかない
全部が全部丸く収まるような終わり方なんて相当上手く立ち回らないとできっこないんです
クトゥルフの表現したい理不尽さはそういった部分にも起因すると思うので、私はそういう作り方をしています
個人の思想、主義、譲れないものといった哲学にぶつけられるのは同じく個人の哲学だけ
某キーパーと「殴り合い」と言っているのは、多分こういうとこな気がしますね


今回の主題は勿論ヘンゼル・グレーテル兄妹のエピローグですが、その前の前座として桃太郎の成長譚を挟んでいます
セッションの桃太郎は成長しましたかね…?
これまでは変化球のキャラばかりだったので、彼には明確な主人公としての役割を担ってもらっています


桃太郎のお供のうち本当に元から神話生物だったのはイヌ(ティンダロスの猟犬)だけですが、イヌ・サル・キジはお供として平等な存在である必要があります
そのために「桃太郎」の世界全体の修正力のようなものが働いて、強い力を持つイヌとバランスを取るために神話生物が召喚、お供に同化しました
結果「バヌアの書」から猿王ジョージ、「未知なるカダスを夢に求めて」からシャンタク鳥が選ばれたワケですね(ゲートオブバナナン使いたいがためのこじつけ)


クトゥルフ、それもキャンペーンのラストなら神話存在のバーゲンセールするしかないよな!
個人的に1d10/1d100のSANC入る神格使いたかったってのもあります、ロマンあるよね
敵役を探す中でいろいろ候補はあったんですが、
・ティンダロスの猟犬に縁がある(実質上司)
・ヨグ=ソトースのライバル的存在
・それに伴ってヨグ=ソトース周りのギミックも使える
・空間に関する能力持ち
ということで、ティンダロスの大君主ことミゼーア様にご登壇いただきました


作中のティンダロスの猟犬はヘングレ兄妹が「赤ずきん」世界の狼と融合させたものなので、普段よりも動物らしい外見で、戦闘力や正気度喪失も相応にランクダウンしています
そのぶん数を扱えるので、脅威度は同等かそれ以上ですが
ミゼーアに魅せられたのでティンダロス絡みの魔術も使役するだろう、という設定の付け方ですね


ヘンゼル・グレーテル兄妹は最初こそ自分たちと同じように多難な道のりの童話(狼に食べられる赤ずきん、貧しさに脅かされるマッチ売りの少女)の世界を崩壊させようとしますが、
よりミゼーアに近づくにつれその大義名分すら失っていきます(招来が目的になりつつある)
原典のグレーテルは「神様」の囁きによって魔女を釜に閉じ込めることに成功しますが、シナリオ中ではその「神様」がミゼーア(もしくはそれに近しい存在)でした


兄妹はそれぞれが単独で動き、
赤ずきん(グレーテル)」
→「マッチ売りの少女(ヘンゼル)」
→「シンデレラ(グレーテル)」
→「桃太郎(ヘンゼル)」
という時系列で童話の崩壊を目論みます


ヘンゼルはまだ「自分のような存在を救う」というある種の良心が残っているため、マッチ売りの少女を探索者によって外の世界へ連れ出してもらおうとしますが、
グレーテルは直接「神様」に接触したため狂気が兄より遥かに進行していて、自分でも気付かないうちにエネルギーを得ることだけが目的になっています(なので「赤ずきん」では直接配下に童話を襲わせている)


時間が経つにつれ更に狂気は進み、単に有名な(巨大なエネルギーを持った)シンデレラを狙うわけですね
「シンデレラ」の世界でグレーテルは赤ずきんに敗北・死亡しますが、その死を受けてヘンゼルも狂気が一気に進行したため、「桃太郎」では暴力的な手段に出ています


話の中で関与されない存在があるというのはそこにまだ広げられる余地があると思っていて、
私が作った『かえるが為に鐘は鳴る』、『銀弾、そして』といったシナリオにも共通する部分です
それを童話テーマに持ってきた感じですね
おさるのジョージを使う許可取った、えらい(実際は別人、いや別猿か?)


結局やりたかったのは「NPCとの対話」、それ一点です
エウロパorマスターorトゥエルブ→過去ヘンゼルor白雪の魔女orイッヌ(桃太郎)
水着→赤ずきん
というPCとNPCが一対一になるような構造になっているはずです、なっているといいな、
白雪の魔女だけ若干薄い気もしますが、これ以上対話できるNPCを増やすのはシナリオ密度の都合で断念しました
赤ずきんと橘キミドリさんも絡み自体は白雪の魔女より少ないんですが、日記やキーアイテム等で出番を補おうとはしているので、許せ


最後のエンディングは2つあります、どっちになりましたかね、流石に背負うもの多すぎてED1になる気がしますが
一応割れた場合PvPも想定しています、複数人シナリオの永遠の悩みどころ


ED1、"May day+"
黒幕の野望を阻止した場合はこっち
めでたしとも読みます、童話にピッタリ
May Dayは救難信号という意味がありますが、果たして誰の救難信号だったんでしょう
プラスの記号を付けることで「その後」みたいな文脈を付けています、最後の手紙とも繋がりますね
「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?」のEDテーマタイトルからそのままもらいました
えびかれー伯爵 ぬきたし で検索すると元ネタの意味合いを書いてくださってるnoteが出てきます(宣伝)


ED2、"カルト・ブランシュ"
黒幕の思惑通りの場合はこっち
Carte blanche(白いカード)は、フランス語で白紙委任状という意味です
加えて「白いカードを持つ」とは「自由な裁量で行動できる」という意味合いもあります、果たして誰の自由な裁量……もういいか
反社会的な宗教(クトゥルフ神話)を示すカルト(cult)ともかかっていて、語感も気に入っているのでフランス大使館のツイートから貰いました
『寒空』で真っ白な何も描かれていない絵本(壊れた童話)をエンディングに描写したので、そういう意味でもほぼ完璧なネーミングだと思います、我ながら感心してる、このEDの可能性が低いのがもったいない
エピローグの世界観はジョージ・オーウェル1984年」を参考にしています、というかほぼ丸パクリ


今思いついたけど現実世界の連れ出しルートの可能性もあるのか…アドリブ頑張ってくれよな…


どちらにしろ結構強烈なEDだと思うんですけど、全部収めるための手段として使わざるを得ませんでした
それを利用してでもやりたかったシーンというか、今回のシナリオ4本全部に共通しているのは「庇護対象(少女)を絡めた選択をどこまで掘り下げられるか?」という部分です
私自身も『ヴィルヘルムが見た波』での初キーパリングや『闇をゆく者達の宴』の長編PL、その他諸々で同様の流れを何度も経験しているので、
自分の中で「庇護するシナリオ」という現代CoCのテンプレートに対していろいろ試行錯誤を行なった次第です
『銀弾』の佐似倭さんの設定もその一つですね
『桃源』の最後は庇護どころかラスボスになりましたが


要するに、身内キーパー達や今までにプレイしたシナリオに対するアンサーシナリオでした
4シナリオ全てを把握しているのが私だけ、かつ自己満設定を詰め込んでいるので、すっきりしない終わり方かもしんねえな…(某ツイートで結構ドキドキしていた)



童話が好きなのは確実に幼少期に見た「おとぎ銃士 赤ずきん」の影響だと思います
重力を操り大剣を振り回す銀髪ツインテゴスロリグレーテル死ぬほど性癖
セッションお疲れ様でした(みらいよち)
次はインドくらいにアホなシナリオやりたいですね