おたくはどちら

つれづれ

『警笛』神視点

 みんな振り返りしてて楽しそうだな〜〜〜〜って感じなので書きます。前回の元ネタは感情を排していたうえに筆を取ったタイミングの問題でプレイに触れていないので、今回はそういう感じで。



・シナリオ開始前
 なんで私は半月前から告知貼ったんだ???いや水着ハゲ(8月末限定ガチャか?)のターンが始まると回せそうにないからだが、ここ2週間はマジでこのシナリオのことしか考えてなかった。

 過去(童話キャンペーンよりもっと前)に「魔術の消去」を絡めたシナリオを詰めていたが、クトゥルフ神話TRPGの世界でやる場合どうしても魔術によって魔術を消すという自己言及をしなくてはいけなかった。このパラドクスについて上手く説明できる気がしない(ドラえもんはこの点が上手い)ためボツに。

 年末なので『人魚姫』を題材にした続編を作り始める。シナリオとして成立させるためにギミックやイベントを考えるが、どう考えてもボリューム不足という結論に至る。

 じゃあまとめちゃえばいいじゃんと無理やり2つのシナリオを融合。自己言及のパラドクスを避けるためにネクロニカを導入。アリス、コペンハーゲン、くだんの3人の造形が固まっていく。ハゲさんがちょっと前に円城塔を話題に出していたのでそれを意識したシナリオをぶつけたかったのもある。手元のメモによると既に10月始めにはタイトル+シナリオプロットが出来上がっていたっぽい。

 ハンドアウトの活用方法を考える。ED伏線として導入した『毒入りスープ』の早解き支援、ビヤーキーのコンビニをPC側としても整合性の取れるものにするための理由付けを行う。

 そもそもあのコンビニ関連は初期魔術削除シナリオで使おうと思っていて、『銀弾、そして』の配布PCである中央ハザマ(トゥエルブ)はその没アイデアを流用していた。結局没にならずここで日の目を見た。

 確かこの辺りで参加者5人が決まる。私のシナリオでティケル氏が唯一参加している『鳳(ootori)』の後日談をイベントとして導入。参加していなくてもひとつならHOで補完できるだろうということで送るHOが童話関連に絞られ、最後の決定権を持つ主人公になることが確定した。草。

いろいろ準備を終えて当日へ。シナリオはかなりスピーディーに仕上がったので素材集め含めてココフォリアと格闘していた時間の方が長かったかもしれん。



・Chapter 1
想定イベント一覧:
コペンハーゲンから依頼、くだん捜索
・富良谷テイイチの調査
・タイムスリップ
・船の沈没
・工場の戦闘、アリスとの遭遇
・童話要素の登場

 1日目。序盤はオーソドックスなディテクティブもの。Chapter2からほぼ一本道になるので、ここで探索の自由度の嵩増しを行う。

 小学生に話しかける不審者や街中を水泳する不審者を見かけながらみんなで進んでいたのでいい感じ。過去と現在を確認する手紙も、「繋がっていない」ということを示せたので上手いロール。粘菌学者の話は長ったらしくイビキが聞こえてきたのでシナリオライティングの反省ポイントひとつめ。マジシャンカラマのイベントが浅かった、反省ふたつめ。

 とにかく伏線を撒くことに集中していたので、PLとしてはハンドアウト含めて分からないことだらけだったと思う。信用と丸投げの境界が難しい。探索者がアリスを連れてきて、コペンハーゲンが眠れないアリスに『マッチ売りの少女』を読み聞かせることでこの章の幕を閉じることを想定していたが、そもそも連れてこなかった。ここ反省3つめ。ぶっちゃけそのパターンが全くシナリオに書いていなかった。そらコペンハーゲン怪しいわな。

 とりあえず童話を絡ませることはアドリブで成功し、Chapter1は幕を閉じる。アリスとコペンハーゲンが合流しなかったことで内心めちゃくちゃ焦っていたが、
・アリスの過去がわからない
コペンハーゲンは過去を視る力を持っている
の二点を導線とすることに急遽変更。目的地の情報をかなり絞っていたため(次の目的地である廃病院の情報へのアクセスがコペンハーゲンのみ)、PCは遅かれ早かれ二人を引き合わせることになるだろうと踏む。というかそうしてくれないとシナリオが破綻しますわ!!!超やべえですわ!!!!!!!



・Chapter 2
想定イベント一覧:
・毒入りスープ
・コンビニ
・NPC3人との対話判定
・アリスを屋敷に行かせる(シナリオにない)
・粘菌研究所の訪問
・廃病院の探索
・アリスのESP能力の発現(できなかった)
ボイスレコーダーの再生、「ネクロニカ」
・PCをぶち殺してアリスの献血会(できなかった)

 2〜3日目。本格的な対話判定がスタート。基本の会話やキャラ設定はガッツリ固めてあったので2/3が美少女である点を除けばあまり問題なかった。アリスの「好きなもの」「嫌いなもの」から聞き出したのは結構意外。芥も江夏も信用しきってはいないが敵視はしていないくらいの距離に収まってくれて非常にありがたかった。ペットショップのロールがよい。牛丼食べたい。

 粘菌研究所。ヒグマは見た目とは裏腹に親しみやすそうで誠実なロールを心がけた。粘菌関連はまったく黒幕に関わらない情報ではあるのだが、世界観として「科学技術のひとつ」であることを伝えるために必要だった。

 くだんについて。基本的に彼は寡黙で、ケイイチのことを伝えたすぐ後のためあまり喋らない(対話判定のトピックが3個しかないし)。正直いくらでも空気になれるのだが、マスオが絡みにいってくれたので助かった。くだんをもう少し道中に絡ませたり、対話判定を増やしてもよかったと思う。反省4つ目。

 病院内は誰かしら殺すつもりでいたので全員生存はかなり上手くやれた方。特に探索者2人が最初から脱出状態かつ支援が入っていたのが大きい。本体ではなく武器を叩く狙いも冴えていた。

 ボイスレコーダーを提示、ネクロニカのネタバラシをしてセッション1日目は終了。ハゲさんから『屍者の帝国』の話題、おじさんから『鳳(ootori)』の話題が出てほーん。いい勘してるね。この時点でPC4人のハンドアウトが公開されているので、槇島がやきもきしていたのが面白かった。

槇島、『みにくいアヒルの子』を出してくるとは思わなかった。確かにハンドアウトで提示しているが、ここまでコペンハーゲンに絡んでくれるとは。こう……いろいろと……噛み合ったよね……まあコペンハーゲンは死ぬんですけど(KPはこの時点で半分鬱)。



・Chapter 3
想定イベント一覧
・空間ミツルの講義、戦闘
献血会リターンズ(できた)
・刑務所での遭遇、襲撃、再会
・アリス、コペンハーゲンの最終対話アンロック
コペンハーゲンとくだんのギミック回収
・銀弾の選択、ルート分岐
・アリス決戦ED(進行ルート)
・平和な日々ED(非進行ルート)


 伊賀すみれの廃病院探索、買い物の時はこいつ何やってんだって思ってたけど水泳のくだりは普通にうまくて感心した。でももうちょい他PLを安心させてやれ。

 で、空間ミツル邸。ここに関しては「自我次元論は科学技術」「テイジは魔術を使っていない」「超能力を扱えるアンデッド」の3点が周知できればよかったのでほとんどがフレーバー。PLの理解力にどこまで丸投げするか、これもまた境界難しいポイント。

 ミツル戦はKP的にも非常に難易度が高く、

ここを逃すとラスボス戦まで戦闘がない
・廃病院無傷突破なので死者を出す必要がある
・が、全員殺すとちょっと強引すぎる
・5人用に調整しているので3人だとキツめ
・槇島が死ぬとNPCイベ負担量がマジでヤバい

「殺したいが殺しすぎてはいけない」戦闘を敢行することになる。ミッションインポッシブル。

 物理ダメージで失血死させるとアリスが働く間もなく死ぬので精神攻撃に絞ることは確定。既にこの時脳内で伊賀か江夏を発狂させるルートしかないと考えていた。レコードは実際何にも関係がないのだが、ちょうどよく壊してくれた上にアドリブ強化攻撃の5d3で(1,1,1,2,3)という最も望んでいた出目を引き当てたため即座にそれっぽく戦闘終了。ダイスに感謝。

 伊賀ちゃんが死んだ時おじさんが悶えまくってたのが面白かった反面心が痛かった。力入れてPC作成してんなぁってのが伝わってきていたため。ここで誰か死んでくれないとアリス関連の特殊イベントが一切起こらずクライマックスに突入してしまうので物語的には完璧なピースのはまり方。

 伊賀が献血された翌日、江夏とアリスの会話。「槇島くんも向こうでりんごジュース飲んできたらどうかな」で把握したのでGOサイン。江夏、伊賀、アリスのそれぞれの関係性の描写がかなり濃かったのでここイチオシシーンですね。

 何藻シラヌは最後のギャグパート要員。この後は地獄to地獄なので。KP的にも「わかんねっすねー」とだけ言っておけばいいので楽。

 対話判定で「緩」を作っている分、PLを飽きさせないようにいつもと比べ「急」の山場を多めに設けていて(ケイイチの死、廃病院の脱出、ミツル戦etc)、ここからは「急」の密度が跳ね上がるのでそれの皮切りに刑務所は丁度よかった。

 コペンハーゲンが槇島にプレゼントする絵本、もともとのシナリオだと『人魚姫』だったのだが、今回は『みにくいアヒルの子』で正解だったかな。「自己犠牲は美しいですが、美しいだけ」というフレーズは気に入っている。



・クライマックス
 島へ。くだん・コペンハーゲンサイド、アリスサイドの二本の話をシナリオ内で同時並行していたが、ここで前者は一旦の区切りを迎える。水着の「(くだんの能力を)こんなところで使わなくても」という指摘、コペンハーゲンの求めている意義そのものでニコニコしてしまった。

 選択。ジャンクを一切これまでのシーンで絡ませなかったのは、撃った場合にアリスと戦闘になるので、更にジャンクまで入れ込みすぎるとキツいだろうなぁとシナリオ制作段階で思っていたため。「撃てない理由(アリスの探し人だから)」と同じくらい「撃てる理由(ジャンクは他人だから)」が選択に見えない部分で貢献している。

 激突。ルールがかなり複雑になったがネクロニカをどうしてもやりたかったなどと供述しており。「別の世界から来たため、この世界のルールに縛られない」すき。わかる。

 すみれの説得未遂、『ネクロニカ』内で戦闘中に対話できるのは「アリス」ポジションだけなので対話判定は不可能である……が、よくよく考えたらすみれはアリス(人名)からアリス(役職名)の血を貰っている。ネクロニカ的に言えばすみれも十分に「アリス」であり、それが当時のKPの頭に浮かんでいれば割とマジで対話判定させても良かったかもしれない。

 練習はしたもののKPの戦闘の負担が尋常じゃなかったのでもっと準備するべきだった。脳のリソースが戦闘に割かれすぎてくだんやPCにまで気を回せていない。反省点その5。



・エピローグ
 冗長になるのを避けて速攻で終わらせたかった。が、探索者闇堕ちを防ぐためのくだんの会話も自ずと短くなってしまうので一長一短。

 コペンハーゲンの信念とくだんの決意をシナリオ構成に練り込みきれなかった、最後の反省点。ある程度伊賀すみれエピローグで補完させてもらったものの、中規模の専用イベント入れても良かった気がする。

 戦闘と対話が多いので10時間は覚悟していたが、最終的なプレイタイムは14〜15時間くらいだろうか。ちょっと長いかなぁ……演劇とか映画とかの数時間でエンタメするコンテンツの方がシナリオの参考になるかもしれん。

 シナリオライティングもキーパリングもほんと毎回反省点見つかるので、頑張って実践と改善のサイクルを回していきたい。

 これマジで赤ずきんが憑いてる。


・伊賀すみれエピローグ

 クラシックなCoCならいざ知らず、こういうヒロイックなシナリオに関してはPLの心は折るが、PCはそれでも前に進み続けて欲しいと思う。生存エンドはきちんと希望を見出させたいのだ。

 だから伊賀すみれのエピローグを語らずにこのシナリオを終わらせることはできなかったし(くだんの語りを受け止めてそれでも尚やりたいなら好きにしていいけど、くだんを無視して探索者が闇へ落ちることは看過できない)、生存したPCには様々なシナリオに継続参加できる量のSAN値を配布した。

" One Day (We'll All Be Dead and None) of This Will Matter. "

 括弧の中を読むかどうかで意味が180度変わる文章。確かカナダのエッセイのタイトル。表紙がお洒落。こういう言葉や文章を普段から収集して、CoCのディティールとして引っ張ってこれるようにしている。したい。


お疲れ様でした。